Once upon a time
昔むかし、あるところに初めて買ったバイクを乗りつぶした男がおったそうな。
日本全国を駆け回り、オフロードコースをガンガン走り回った結果、XT200は至る所にガタが来て、
正確な走行距離は覚えていませんが、数万kmで安らかにその生涯を終えました。
過酷な使い方をしたと思いますが、オフロードバイクとして太く短い人生(車生)を
送ってくれたんではないかと、勝手に思っております。
そんなわけで、XT200を手放した時は、特にお金が無くて新車を購入する訳にもいかなかったので、
常連のショップに入って来たビンテージオフローダー・DT250Mを現状渡しという条件で、
50,000円で手に入れました。
DT250Mは空冷2サイクル単気筒エンジンで、出力は21ps/6000rpm。
市販車初のモノショック搭載のトレール車ということで、1977年の発売当時は
とても先進的なマシンだったと聞いています。
が、このバイクが自分の元にやって来た1986年は、水冷のDT200がブイブイとコースや林道を
走りまわっている時代だったので、この空冷DTはいかにもオールドスタイルでした。
また、初めて乗る2ストバイクが、空冷エンジンで、しかも点火方式がCDIではなく、
なんとポイント点火ってのも、激シブでした。
アクセルを開けると、バラバラバラバラーッという音と共に、もっちゃりと回転が上がり、
アクセルを戻すと、タンッ、タンッ、タンッ、タンッ、タン、タンタンタン…と、小刻みに回転が落ちて行きます。
このエンジンフィールは、当時の現行車には無い独特の感覚でした。
車体は現状渡しなので、キャブの全バラシから、タンク内の清掃、タイヤ交換、オイル交換、
フィルター交換など、全て自分でやらなければなりませんでしたが、構造が単純なので
特に問題はありませんでした。
ただ、エンジンの始動性と安定性が悪いので、ポイント調整が必要だということで、ギャップ調整の仕方や、
ポイントの先端をサンドペーパーで磨く方法を教えてもらい、コツコツと蘇らせていきました。
そうやって、段々とまともに走るようになってきたDTに愛着も湧いてきましたが、
ウイークポイントも多かったです。
まずは、キックペダルを踏下ろす際に、きっちりと死点を合わせて踏み抜かないと、
思いっきりケッチンが返って来て、足が折れそうになります。
また、フロントフォークオイルを替えてダンパー調整をしても、スッカスカのサスは、林道では底付きしまくり。
幅の狭いフロントフェンダーからの泥や水の跳ね上がりが酷いので、XTの中古フェンダーに交換しました。
そして高速道路では、最高速が80km程度しか出ず、暑い日に長時間走ると、すぐにオーバーヒート…
と、いった具合に、「走り」を求めるとフラストレーションが湧くバイクでした。
今の時代なら、のんびり、まったりと、テイストを楽しむ系のバイクとしてレストアすると
面白いバイクなんでしょうね。
おそらく、当時もプロがちゃんと整備すれば、もう少しポテンシャルが発揮できたのかも知れませんが…