うしろ髪を引かれながら、礼文島を後にして、稚内に戻ってくると、青空がのぞき始めた。
それでは、楽しみにしていた、道北の絶景ロードを楽しむことにしよう。
まずは、宗谷岬の南側の丘陵地帯「宗谷丘陵」を貫く道道889号線。
海沿いの国道238号線から、グングンと駆け上がるように登っていくと、
ゆるやかにアップダウンを繰り返す丘の上を、緩やかな弧を描いて、素晴らしい道が続いている。
道の周りには、視界を遮るものは何もなく、ただただ牧場の草地が続いている。
おそらく「天空」を走るって、こんなことを言うのかな?
程なく行くと、「宗谷岬・左」の標識があらわれた。
その標識には、「右×」と、行き止まりの表示があるが、素晴らしい道がまだまだ続いている。
念のため、地図を広げてみたが、やはり道は途中で途切れているようだ。
でも、このまま、この丘を降りて「下界」に戻るのも残念なので、ハンドルは右へ。
行き止まりなら、引き返せばいいじゃないか。
こんなにゴキゲンな道なんだから。
風を受けてゆるやかに回る風車の群れ。
道が少しづつ下り始めている。
それにつれて、道の両サイドに樹が混じり出した。
すると、何の前触れもなく、道がダートに変わった。
少しスピードを緩めて、様子を見ながら走ってみたが、単なる舗装工事中ではなく、
ここからは、延々とダートが続くようだ。
ただ、道の両側には側溝があり、しっかりと踏み固められているので、
どうやら舗装工事前の状態のようだ。
娘に「引き返す?」って聞いてみると、「このまま行けるんとちゃう?」というので、
ダート走行を楽しませてもらうことにした。
路面状況はまずまずで、道のセンターと両サイドの深い砂利を避ければ、
フルパッキング&タンデムでも快適に走ることができた。
このあたりの懐の深さが、GSの最大の魅力だ。
車酔いに弱い娘であるが、何故かバイクは大丈夫なようで、
延々と続くダート走行中も、リアシートで、パチパチと写真を撮っている。
なかなか頼もしいじゃないか。
いったい何キロダートを走っただろうか?
遠くから、砂煙を上げて2tトラックが近づいてくる。
と、いうことは、道は繋がっているっていうこと。
道が下りから、水平になったな、思っていると、遠くに青い海が見えてきた。
ダートは舗装道路と交わった。
標識を確認すると、国道238号線。
宗谷岬を回らずに、日本海からオホーツク海に抜けたことになる。
「地図にない道」
広告のコピーのようなフレーズだけど、
まだ知られていない道を見つけた快感。
これは、オフ車ライダーの特権だと思う。